家庭医学館 「急性上咽頭炎」の解説
きゅうせいじょういんとうえん【急性上咽頭炎 Acute Nasopharyngitis】
咽頭(のど)は、鼻の後方から軟口蓋(なんこうがい)までを上咽頭(じょういんとう)、軟口蓋から喉頭蓋(こうとうがい)までを中咽頭(ちゅういんとう)、これより下方の食道入口部までを下咽頭(かいんとう)と呼びます。
鼻から侵入したかぜのウイルスや細菌が感染し、咽頭全体に炎症がおこった場合を急性咽頭炎(「急性咽頭炎(のどかぜ)」)といいますが、上咽頭にかぎって炎症がおこっている場合を急性上咽頭炎といいます。このほか、冬期の乾燥した空気の吸入による鼻粘膜(びねんまく)の乾燥のほか、スギ花粉症(かふんしょう)の一症状としてもおこります。
[症状]
鼻の後方、のどと鼻の接点の痛み、乾燥感、違和感がおこります。ときに全身倦怠感(けんたいかん)(だるさ)、ものを飲み込んだときの耳に響く痛みなども感じられます。
炎症が強いと、出血がみられることもあります。
後鼻鏡(こうびきょう)や鼻咽腔(びいんくう)ファイバー検査でみると上咽頭粘膜(じょういんとうねんまく)が赤くなっています。
[治療]
養生として、安静を保ち、水分や食事を十分にとり、室内の保温や保湿につとめます。
局所的には、消炎作用のあるプロタルゴール液や塩化亜鉛液(えんかあえんえき)の上咽頭への塗布、抗生物質・副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬の入った液の噴霧(ネブライザー)療法が有効です。全身状態が悪いときには、抗生物質や消炎鎮痛薬の内服が必要になることもあります。