養生(読み)ヨウジョウ

デジタル大辞泉 「養生」の意味・読み・例文・類語

よう‐じょう〔ヤウジヤウ〕【養生】

[名](スル)
生活に留意して健康の増進を図ること。摂生せっせい。「酒やタバコをひかえ、つね日頃から養生している」
病気の回復につとめること。保養。「転地して養生する」
打ち込んだコンクリートモルタルが十分に硬化するように、低温・乾燥・衝撃などから保護する作業。
家具の運搬や塗装作業などの際に、運搬物や周囲汚損を防ぐために布や板などで保護すること。「養生シート
[類語]静養保養療養保健闘病

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精選版 日本国語大辞典 「養生」の意味・読み・例文・類語

よう‐じょうヤウジャウ【養生・養性】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 生命を養うこと。健康を維持し、その増進に努めること。摂生(せっせい)
    1. [初出の実例]「一思李老止足之誠。一尋松子養生之術。而未懸車之年齢」(出典:明衡往来(11C中か)下本)
    2. 「つねにありき、つねに働くは、養性なるべし」(出典:方丈記(1212))
    3. 「私は、養生の為に、菓物などは、多く、食しませぬ」(出典:小学教授書(1873)〈文部省〉)
    4. [その他の文献]〔荘子‐養生主〕
  3. 病気の手当てをすること。保養。
    1. [初出の実例]「和康法師来、仰進灸穴之由、是仰名医等之抄物中也、先日、欲養生事」(出典:玉葉和歌集‐治承五年(1181)三月一六日)
  4. 土木・建築で、打ち終わったコンクリートを保護し、十分に硬化させるための作業。乾燥によりできるひび割れを防ぐため、露出面をむしろ、布、砂などで覆い、水をまいて湿潤状態を保たせる。また、運搬や作業の際に、内装を汚損しないように、完成部分を布や紙、ベニヤ板などで覆って保護すること。「養生板」
    1. [初出の実例]「どうしてもコンクリート養生に二週間かけて、あらたに継目工事をしなければならない」(出典:石の眼(1960)〈安部公房〉二)

養生の補助注記

漢語の「養性」は本性を立派に育てあげる、自然のままの本性を養うなどの意味を持つ別語であるが、日本では両者が混用された。

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改訂新版 世界大百科事典 「養生」の意味・わかりやすい解説

養生 (ようせい)
yǎng shēng

中国で,生命を養って長生をはかることをいう。〈養性〉というのもおなじ。《荘子》には〈養生主〉の1編があり,天理の自然にしたがうことが養生の秘訣であると説かれている。魏の嵆康(けいこう)の《養生論》は,精神を養う〈養神〉と肉体を養う〈養形〉の両面から養生を論じ,正しい養生の方法によって千年,数百年の寿命を得ることも可能だと考えた。〈養神〉の方法としては,老荘哲学にもとづいて愛憎憂喜の感情を心にとどめずに体気を和平ならしめること,〈養形〉の方法としては,神仙家の説にもとづいて〈吐故納新(とこのうしん)〉とよばれる呼吸術や〈服食〉とよばれる仙薬服用その他の食餌法が重視されている。養生は,単に健康法たるにとどまらず仙人となるための基礎的な過程であったのであり,仙道にかんする書物である《抱朴子》内篇も,養生には金丹の服用をはじめとするさまざまの仙術の兼習が必要であると説く。
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普及版 字通 「養生」の読み・字形・画数・意味

【養生】よう(やう)せい・ようじよう(やうじやう)

生命をやしなう。摂生。〔荘子、養生主〕惠君曰く、善い哉(かな)。吾(われ)丁の言を聞きて、生をふことを得たりと。

字通「養」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「養生」の意味・わかりやすい解説

養生(土木)【ようじょう】

コンクリートモルタルの凝結,硬化を完全にするため打込み個所を保護すること。露出面をシートなどでおおって散水し,荷重,衝撃,直射日光,乾燥,凍結,温度の急変をさける。また建築中の建物の床などの露出面の保護の意味にも用いられることがある。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「養生」の解説

ようじょう【養生】

➀建築・引っ越しなどの作業の際、周囲を汚したり傷つけたりしないように、おおいをかけるなどして保護すること。
➁コンクリートやモルタルが固まるまで、十分に強度が出るように水分や温度などを管理する作業。
➂工事現場から周囲へものが落下したり飛散したりするのを防止するために足場や金網を設けること。

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不動産用語辞典 「養生」の解説

養生

工事中先に完成した部分・部材が、工事・立入等で損傷・ダメージを受けたり汚れてしまったりすることを防ぐため、カーペットなどの保護材で覆うことです。
また、建物の取り壊し・撤去による部材等の散乱・落下により、隣接する建物がダメージを受けないよう、保護をかけることも意味しています。

出典 不動産売買サイト【住友不動産販売】不動産用語辞典について 情報

リフォーム用語集 「養生」の解説

養生

部材の保管・輸送の時に、雨や風などから保護し、傷や汚れが付かないように、ブルーシートなどで覆うこと。また、塗装の際の養生においては、塗装面以外の面に塗料がかからないようにシートやマスキングテープなどで覆う事を指す。

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化学辞典 第2版 「養生」の解説

養生
ヨウセイ
aging

[別用語参照]エージング

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の養生の言及

【コンクリート】より


[コンクリートの配合]
 コンクリートを作るときのセメント,水,骨材など各材料の使用割合,または使用量を配合という。コンクリートの品質は,材料の特性,練混ぜ,運搬,打込み,養生(コンクリートが十分硬化するまで保護すること)などの方法によって大きな影響を受ける。しかし,配合は所要のコンクリートの品質を実現する基本であり,材料や施工がよくない場合でも,配合を定めるときの条件を遵守することによってかなりの程度まで補うことができる。…

【木材】より

…この間,屋外に置いて風雨にさらしたり水につけてやにを抜いたりする。これを養生(ようじよう)という。また,生育した地形,日当りなどの条件により同じ樹種でも特有の性質があり,その特質および樹種の別を生かし,十分に養生を行って使う必要がある。…

※「養生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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