日本大百科全書(ニッポニカ) 「急性参照容量」の意味・わかりやすい解説
急性参照容量
きゅうせいさんしょうようりょう
acute reference dose
食品中の残留農薬などの基準値の一つ。略称ARfD。2002年に国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で開催した残留農薬専門家会議(JMPR:Joint FAO/WHO Meeting on Pesticide Residues)によって、「24時間以内に摂取した食品や飲料に含まれる物質が、ヒトの健康に有害な影響を及ぼさないと考えられる一日当りの摂取量」として提示された。すなわちさまざまな理由で農薬など化学物質が含まれる食品や飲料を短時間に経口摂取してしまった場合に、その毒性に関して安全とされる一日当りの最低限の摂取許容値である。実験によって人体臓器への毒性や内分泌への影響などを調べ、得られたデータをもとに毒性がないと判断される許容量を算出し、安全係数とともに表示する。許容一日摂取量(ADI)などとともに、食品安全上で重要な基準値である。一般にこれらの値は人体への安全性を最大限に考慮して実際よりも低めに設定される。
また環境汚染で問題とされるダイオキシンなどについては耐容一日摂取量(tolerable daily intake:TDI)の基準値が用いられ、これは「ヒトがある物質を一生涯にわたって摂取した場合に、健康に有害な影響が現れないと考えられる、体重1キログラム当りでの一日の摂取量」と定義されている。
[編集部]