六訂版 家庭医学大全科 「急性外陰潰瘍」の解説
急性外陰潰瘍
きゅうせいがいいんかいよう
Lipschütz acute ulcer of the vulva
(女性の病気と妊娠・出産)
どんな病気か
若い女性に多く、性交と関係なく痛みを伴う深くえぐれた潰瘍が、外陰に1個ないし数個できる病気です。外陰とは、性器の外側の部分(
原因は何か
明らかな原因はまだわかっていません。ウイルスや細菌による感染症ではないかと考えられたこともありましたが、現在は否定的で、自己免疫疾患ではないかと考えられています。
症状の現れ方
主に外陰部に痛みを伴う潰瘍ができ、多くは発熱を伴います。潰瘍は小陰唇や会陰に発生することが多いのですが、腟のなかや子宮
潰瘍は、
検査と診断
血液検査では、白血球増加やCRP陽性などの炎症反応が現れることが多く、深い潰瘍が明らかな
性器ヘルペス症でも外陰部に潰瘍ができますが、これは潰瘍が浅く、
治療の方法
潰瘍部分に細菌による感染が起こらないように、抗生剤が含まれた軟膏や、さらにステロイドを含有する軟膏を用います。
痛みなどの症状を和らげるには、非ステロイド性抗炎症薬の内服が有効です。副腎皮質ステロイド薬の内服も、とくに症状が強い時などに有効です。
病気に気づいたらどうする
痛みを伴う外陰の潰瘍に気づいた場合は、潰瘍部分に細菌感染が起こらないように局所を清潔に保ち、婦人科または皮膚科を受診してください。
ベーチェット病の場合もあるので、眼科の受診をすすめられる場合もあります。
関連項目
八杉 利治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報