(読み)テン

デジタル大辞泉 「恬」の意味・読み・例文・類語

てん【×恬】

[ト・タル][文][形動タリ]気にかけないで平然としているさま。「として恥じない」「として顧みない」

てん【恬】[漢字項目]

[音]テン(漢)
外のものに心を動かされず落ち着いている。「恬然恬淡

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精選版 日本国語大辞典 「恬」の意味・読み・例文・類語

てん【恬】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙 ( 多くてんとして」の形で用いる ) なんとも思わず平気でいるさま。頓着しないさま。平然。
    1. [初出の実例]「後学亦只以為吾聖人之学真如此。恬不怪」(出典語孟字義(1705)上)
    2. 「小家など持ちたるものも、公然としてこれをなし、恬として恥をしらず」(出典:随筆・孔雀楼筆記(1768)二)
    3. [その他の文献]〔漢書‐賈誼伝〕

てんと‐して【恬】

  1. てん(恬)

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普及版 字通 「恬」の読み・字形・画数・意味


9画

[字音] テン
[字訓] やすらか・しずか

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
声符は舌(ぜつ)。〔説文〕十下に「安らかなり」とし、舌では声が合わないから「甜(てん)の省聲」とするが、おそらくもと(てん)に従う字であろう。〔説文〕三下を舌を垂れる形とするが、字は席の象。席に安んずる意を恬というのであろう。〔段注〕に篆字を改めて(てん)に作っている。

[訓義]
1. やすらか、やすんずる、おちつく。
2. しずか、おだやか、あっさり。

[古辞書の訓]
名義抄〕恬 シヅカニ・シヅカナリ・ヤスシ・ネガフ・オフ・ホホ・ヲノノク 〔字鏡〕恬 クルル・シヅカニ・カフ・ヲク・シヅカ・シヅム・ヤスシ

[声系]
〔説文〕に舌声とするものに括kuat、活huatと恬dyamの両系あるも、いずれも舌djiatと音系が異なる。括・活の従うところは(かつ)で(けつ)の形に従い、刳(えぐ)り削る意があり、恬の従うところはで、席の象。三系みな声義の異なる字である。

[熟語]
恬安・恬逸恬臥恬豁恬簡恬熙恬嬉恬虚・恬恬曠恬忽恬如・恬静・恬性・恬然恬怠・恬退恬泰・恬・恬淡恬憺恬澹恬暢恬適・恬恬漠・恬泊恬謐恬敏恬穆・恬愉・恬裕・恬和
[下接語]
安恬・虚恬・神恬・清恬・風恬・養恬

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