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語孟字義 ごもうじぎ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

語孟字義
ごもうじぎ

伊藤仁斎著。2巻。仁斎の主著論語古義』『孟子古義』の成果を集約したもので,天道,天命,道,理,徳,心,性,情,誠など 30ヵ条から成る。初稿は天和3 (1683) 年 57歳のとき若年寄稲葉正休に献じる形でまとめられた。最終稿は宝永1 (1704) 年門人林景茫の筆写,仁斎の補成になった林本であり,翌年仁斎の死後8ヵ月にして子東涯の手によって出版された。この間元禄8 (1695) 年仁斎の許可のない贋刻本が江戸で出版されている。この著作は古義学説の展開であり,終始朱子学への対抗意識によって貫かれ,朱子学の理気二元論,「理」中心の理念偏重を激しく論難し,これに対して一元気論に基づく日常生活のなかでの実践道徳の重要性および情意的道徳を主張している。

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世界大百科事典 第2版の解説

ごもうじぎ【語孟字義】

江戸前期の儒者伊藤仁斎の著書。最古稿本は1683年(天和3)5月に成立し,最終稿本は原文の成立時期が未確定であるが,仁斎の補正は死去直前まで続行された。内容は南宋の朱子学者陳淳(北渓)の《北渓字義》に対抗した,仁斎学の基本的な諸概念の規定集。〈序〉で述べている意味血脈論・意思語脈論は仁斎学の方法論を定式化したものとして著名。主著《論語古義》《孟子古義》の成果をふまえた著作であるが,項目化されて便利であるため,長い間仁斎学研究上の第一文献的扱いを受けた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

語孟字義
ごもうじぎ

江戸前期の儒学者伊藤仁斎(じんさい)の主著。京都で古義(こぎ)学を提唱した仁斎が1683年(天和3)に幕府の若年寄稲葉正休(まさやす)に書き与えた書物で、最晩年の著『童子問(どうじもん)』とともに、完成した仁斎学の首尾をなす日本思想史上の名著である。仁斎は『論語』『孟子(もうし)』を聖賢の真骨頂を伝える書と信じ、2書を「熟読精思」して聖人の「意志語脈」を心目の間に瞭然(りょうぜん)たらしめると、孔子(こうし)・孟子の「意味血脈」を識(し)るだけでなく、その「字義」が大過なく理解できると説いた。仁斎は語・孟の精読によって孔孟の精神と語・孟の字義を同時に把握するという特殊な文献学的方法(「古義学」的方法)によって、上巻では天道、天命、道、理、徳、心、性など、下巻では忠信、忠恕(ちゅうじょ)などの語・孟理解のキーワードの「字義」を説明する。しかし、仁斎の古義学的方法は、厳密な学問的研究の成果に仁斎の思想の刻印を押すことになったが、荻生徂徠(おぎゅうそらい)の古文辞(こぶんじ)学、本居宣長(もとおりのりなが)の古学の成立に大きな影響を与えた。[石田一良]
『清水茂校注「語孟字義」(『日本思想大系33 伊藤仁斎・伊藤東涯』所収・1971・岩波書店) ▽石田一良著『伊藤仁斎』(1960・吉川弘文館)』

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世界大百科事典内の語孟字義の言及

【道】より

………道はなお途のごとし。これに由るときはすなわち行くことを得,これに由らざるときはすなわち行くことを得ず〉(伊藤仁斎《語孟字義》)。みるべきは《論語》《孟子》の言葉を己の問題にそって読みこむ方法を行使する中で,道の二義性が見抜かれている点である。…

※「語孟字義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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