感染拡大防止協力金(読み)かんせんかくだいぼうしきょうりょくきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「感染拡大防止協力金」の意味・わかりやすい解説

感染拡大防止協力金
かんせんかくだいぼうしきょうりょくきん

新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の感染拡大を防ぐため、休業、営業時間の短縮、酒類提供の制限などの要請に応じた事業者に自治体支給する協力金。「休業・時短営業協力金」などともよばれる。自治体の要請に応じ、売上げが減少した事業者の事業継続を下支えするねらいがある。東京都が2020年(令和2)4月に初めて導入し、緊急事態宣言の対象自治体だけでなく、全国の自治体に広がった。原則、協力金原資の8割を国、2割を都道府県が負担する仕組みで、政府は、コロナ対策に自由に使える地方創生臨時交付金などで自治体財政を支援している。ほとんどの自治体が専用サイトでも受け付け、給付を受けるには、減収を証明する売上げ台帳や確定申告書類などを提出する必要がある。不正受給には加算返還の罰則を科す自治体もある。

 実際の支給額、支給期間、対象地域、対象業種、事業者への要請内容(休業、時短営業、酒類提供時間の制限など)、申請手続などは自治体によって異なる。同一自治体でも時期や感染拡大状況に応じて支給対象や支給額を変えている。たとえば、東京都の場合、2020年4~5月の支給額は一律1店舗当り50万円(2店舗以上は100万円)だったが、同年11~12月に1日換算2万円、年末年始に同4万円、2021年1月8日以降は同6万円に変わった。支給の対象も当初はネットカフェ、パチンコ店、映画館など幅広い業種の休業や午前5時~午後8時に短縮営業した飲食店だったが、ネットカフェ、パチンコ店、ホテルなど宿泊施設、スポーツクラブなどはその後対象から外れた。政府は緊急事態宣言の対象都道府県の支給上限は6万円(当初2万円、年末年始は4万円)、それ以外の地域は同4万円(当初2万円)の支給枠を示しているが、都道府県や市区町村で独自に上乗せ支給する例もある。また札幌市すすきの地区、長野県白馬村などの繁華街や観光地などの地域限定で支給する自治体もある。おもに中小事業者や個人事業者が対象であるが、東京都のように大企業まで対象を広げた例もある。

[矢野 武 2021年4月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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