家庭医学館 「慢性乳腺炎」の解説
まんせいにゅうせんえん【慢性乳腺炎 Chronic Mastitis】
乳腺の慢性的な炎症で、授乳に関連しておこる慢性授乳性乳腺炎と、授乳に関係なくおこる慢性乳腺炎があります。
■慢性授乳性乳腺炎(まんせいじゅにゅうせいにゅうせんえん)
授乳期の急性化膿性乳腺炎(きゅうせいかのうせいにゅうせんえん)(「急性化膿性乳腺炎」)が、不適切な治療によって治りきらずに慢性化したものです。授乳後、長期にわたっておこることがあります。
乳房が赤く腫(は)れて大きくなり、熱をもったり、しこりを触れることがありますが、急性化膿性乳腺炎よりも症状が軽いのがふつうです。
治療としては、膿瘍(のうよう)があれば切開(せっかい)して排膿(はいのう)します。しこりがあれば摘出手術が必要です。
■授乳と関係ない慢性乳腺炎
閉経前後にみられるもので、乳房全体や一部にしこりを触れますが、圧痛や発赤(ほっせき)などの炎症症状はありません。
乳腺の炎症により乳房の皮膚にひきつれやへこみができたり、わきの下のリンパ節が腫れることもあります。
とくに治療を必要としませんが、乳がんとの鑑別がむずかしいことがあるので、一度は外科の乳腺専門の医師の診察を受ける必要があります。