成女式(読み)せいじょしき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成女式」の意味・わかりやすい解説

成女式
せいじょしき

通過儀礼の一つ。成年式男子にも女子にも行われるが,女子にのみ行うものを特に成女式と呼ぶ。成女式は生理的成熟と対応して行われるのが普通であり,初潮をみると成女の印として祝う民族が多い。しかし,月経の性質上個人的な儀式として行われることが多く,このとき割礼抜歯身体変工が施されたりするが,男子ほどの複雑な儀礼は少く,結婚へ直接結びつくことが多い。日本の鉄漿 (かね) つけ祝い (→お歯黒 ) も成女式といえる。

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世界大百科事典(旧版)内の成女式の言及

【象徴】より

…このようにさまざまなレベルと側面を含んではいるが,全体としてみれば,〈ミルクの木〉は,矛盾や葛藤を含みながらも統合を保って永続するヌデンブ族の世界のシンボルなのである。 ヌデンブ社会でもっとも重要な儀礼の一つである成女式は,この〈ミルクの木〉の周囲で行われる。成女式を受ける少女たちは,裸で〈ミルクの木〉の根元に横たわる。…

【成年】より

…成人女子の表示である。さらに成年式(成女式)としての髪上(かみあげ),初笄(はつこうがい),裳着(もぎ)が行われる。元服以前の男子年少者はなにもかぶらず,頂(いただき)を露(あら)わしたままでいた。…

【成年式】より

…成年式とは,子どもから一人前のおとなへ移行する際に,その境界に設けられた文化的規定である。成人式ともいい,女性の場合は成女式と呼びわけることもある。成年式が一定の集団(たとえば若者組)への加入儀礼と重複している場合も多い。…

【年齢集団】より

…民族学者シュルツHeinrich Schurtzが《年齢階梯制と男子結社》(1902)を著してこのことを大きくとりあげたが,彼は思春期における男子の女性および家族・親族からの隔離が,部族的成年式(割礼を伴うことが多い)で強調されることに注目した。反面,女子では初潮の時期が一様ではないので,成女式は男子のように部族的規模で一定時期に行われず,また妊娠・出産・育児のため家族・親族や近隣などのせまい血縁・地縁に拘束されて,年齢集団ができにくいとした。さらに男子では未婚の青年と既婚の中・老年世代との間に,婚姻規制をめぐって対立があることが,年齢集団形成の基盤にあるとも考えた。…

※「成女式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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