精選版 日本国語大辞典 「お歯黒」の意味・読み・例文・類語
お‐はぐろ【御歯黒・鉄漿】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
- ① 「歯黒め」の女房詞。歯を黒く染めること。近世初期では、御所で「五倍子水(ふしみず)」、公家で「お歯黒」、民間で「つけがね」と呼んだという。この風習は上代からあり、中古には貴族の女性の間で盛んであったが、中古後期になると公卿、武家などの男性も行なった。近世では女性だけがつける習慣となった。すみはぐろ。はもじ。ぬきすみず。→鉄漿(かね)。
- 御歯黒[ 一 ]①〈百人女郎品定〉
- [初出の実例]「若君様御歯黒御祝」(出典:親元日記‐文明五年(1473)一一月三〇日)
- ② 歯を黒く染めるときつける褐色の染料。鉄漿(かね)。鉄片を茶、または酢の中に入れ、さらに、かゆ、酒、飴などを加えて酸化を促進させ、つきをよくするため五倍子粉(ふしのこ)を使う。はぐろ。はぐろめ。はぐろみ。〔大上臈御名之事(16C前か)〕
- [初出の実例]「おはぐろは古釘を集て出す事多分なり」(出典:俳諧・類船集(1676)久)
- ③ 「おはぐろとんぼ(御歯黒蜻蛉)」の略。
- ① 「歯黒め」の女房詞。歯を黒く染めること。近世初期では、御所で「五倍子水(ふしみず)」、公家で「お歯黒」、民間で「つけがね」と呼んだという。この風習は上代からあり、中古には貴族の女性の間で盛んであったが、中古後期になると公卿、武家などの男性も行なった。近世では女性だけがつける習慣となった。すみはぐろ。はもじ。ぬきすみず。→鉄漿(かね)。
- [ 2 ] 「おはぐろどぶ(御歯黒溝)」の略。
- [初出の実例]「吉原の酒おはくろへながれこみ」(出典:雑俳・柳多留‐七〇(1818))