成年性浮腫性硬化症
せいねんせいふしゅせいこうかしょう
Scleredema adultorum
(皮膚の病気)
真皮の結合組織の疾患です。病名に成年性とありますが、約半数は10代で発症します。
原因は不明ですが若年者の例で上気道感染症、蜂窩織炎が先行感染として認められます。起因菌は溶連菌が最多です。糖尿病・血液疾患が発症に関わっている可能性も指摘されています。
浸潤(硬く触れる部分)が、項頸部、肩、上背部、次いで顔、体幹へと広がっていく場合が多くみられます。色は淡紅色から蒼白色、光沢があり、木のような硬さで、指で押すと痕を残さないのが特徴です。
したがって、表情をつくる時に違和感を感じたり、また開口困難、嚥下(えんげ)障害といった症状も自覚されます。“鎧を着た”感じと表現される場合もあります。しかし、指で小さくつまみ、しわをつくることはできるので、表皮、真皮の上層には病変が及んでいないと考えられます。正常部との境界ははっきりしません。
組織検査では、膠原線維と糖類であるグリコスアミノグリカン(主にヒアルロン酸)が増え、膠原線維間に沈着しています。糖尿病の検査ならびに血液疾患(M蛋白血症)の検査が必要です。小児では、溶連菌の感染でASO(連鎖球菌に対する抗体)が上昇することがあります。
区別すべき疾患には、限局性強皮症と皮膚筋炎とがあります。限局性強皮症は緩やかに発症、象牙色の病変部、ライラック輪(ライラックの花びらと同じ暗紫色)といった特徴があります。皮膚筋炎は皮膚に浮腫(むくみ)がみられますが、その他の症状で区別できます。
感染症後に発症する型は、半年~2年で自然に落ち着きます。糖尿病に合併するものは、持続する傾向があります。
皮膚科を受診してください。
宇谷 厚志
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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