精選版 日本国語大辞典 「戴き」の意味・読み・例文・類語
いただき【戴・頂】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「いただく(戴)」の連用形の名詞化 )
- ① 頭のてっぺん。頭頂。また、頭。
- ② 頭頂の結髪。いなだき。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
- ③ 山のいちばん高い所。頂上。山頂。
- [初出の実例]「彼の菟田の高倉山の巓(イタタキ)に陟て」(出典:日本書紀(720)神武即位前戊午年九月(熱田本訓))
- 「駿河の国にあなる山のいただきに」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ④ 物事のいちばん上の部分。てっぺん。
- [初出の実例]「芝草を貢れり。其の状菌(たけ)に以たり。〈略〉、其の蓋(イタタキ)二囲(いたき)」(出典:日本書紀(720)天武八年是年(北野本訓))
- 「炭を重ねおきたるいただきに、火を置きたる」(出典:枕草子(10C終)二九八)
- ⑤ 物事の限度。これ以上ないという最高の度合。極点。
- [初出の実例]「欲にはいたたきない者ぞ」(出典:玉塵抄(1563)三〇)
- ⑥ ( 「いただきもち(戴餠)」「いただきもちい(戴餠)」の略 )
- (イ) =いただきもちい(戴餠)
- [初出の実例]「我は若君のいただきせさせ奉らん」(出典:浜松中納言物語(11C中)四)
- (ロ) =いただきもち(戴餠)②
- [初出の実例]「灌仏会〈略〉今日仏に供する所の餠を号していただき、又花くそといふ」(出典:東都歳事記(1838)四月八日)
- (イ) =いただきもちい(戴餠)
- ⑦ 物事をしそこなうこと。しくじり。特に芝居の世界でいう。不出来。失敗。
- [初出の実例]「是からが大わらひサ。〈略〉むごひいただきさ〈いただきとは芝居の通語也しろう人にてはたいたといふ事〉」(出典:洒落本・御膳手打翁曾我(1796か))
- ⑧ 大した苦労もなく、また、そのままの形で手に入れたり自分のものにしたりすること。→いただく[ 一 ][ 一 ]⑦。「これできょうの試合はいただきだ」