戸守郷(読み)ともりごう

日本歴史地名大系 「戸守郷」の解説

戸守郷
ともりごう

戸森郷とも書く。現川島町戸守を遺称地とし、同所を含む越辺おつぺ川左岸一帯に比定される。正平七年(一三五二)二月六日の足利尊氏袖判下文(高文書)に「戸森郷」とあり、当郷は下野国足利庄内大窪おおくぼ(現栃木県足利市)などとともに常陸国馴馬なれうま(現茨城県龍ケ崎市)などの替地として、高師業に宛行われている。なお年未詳八月一四日の足利尊氏書状(同文書)によると、尊氏は師業の訴えを受け当郷の領有を再確認している。しかし貞治四年(一三六五)一〇月日の高坂重家陳状案(同文書)によれば、当郷は重家の亡父専阿が正平七年(一三五二)一二月一二日に勲功の賞として拝領した地といい、重家と師業(常珍)代行俊との間で相論が起こっている。行俊の主張は、正平七年に師業が当郷を拝領したにもかかわらず重家が押領したというものであった。この争い鎌倉府裁決では重家が勝訴したようで、応安元年(一三六八)七月一二日の足利金王丸寄進状写(諸州古文書)によれば、「高坂左京亮跡」たる当郷が四季大般若経転読料所として下野国鑁阿ばんな(現栃木県足利市)に寄進され、同日、関東管領上杉憲顕がその旨を施行している(「上杉憲顕施行状」鑁阿寺文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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