改訂新版 世界大百科事典 「所口」の意味・わかりやすい解説
所口 (ところぐち)
能登国(石川県)鹿島郡の港町。現在の七尾市の中心部。七尾ともいう。1581年(天正9)畠山氏の七尾城に入った前田利家は,翌年七尾湾に面する所口村に小丸山城を計画,旧七尾城下の町人を移して新城下町を経営しようとしたが,83年金沢城へ移ったことから中止された。しかしこの地の軍事的・経済的重要性から町づくりは続けられ,元和期(1615-24)には町奉行が置かれ所口町のほかに能登全域の治安と流通をも支配した。1616年には府中町,大手町などのほか,米町・味噌屋町・豆腐町・魚町などの商人町,大工町・鍛冶町・檜物町・作事町・塗師町・かわや町などの職人町,輸送業者の馬喰町など,合わせて18町が形成されていた。17世紀後半には戸数1428軒,人口7473人,19世紀半ばには戸数1883軒と記録されている。1875年七尾町となった。
執筆者:田中 喜男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報