所質(読み)トコロジチ

デジタル大辞泉 「所質」の意味・読み・例文・類語

ところ‐じち【所質】

中世の質取り行為の一。債権者債務の支払いを求めて、債務者の属する組織体の成員やその動産を私的に差し押さえること。

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精選版 日本国語大辞典 「所質」の意味・読み・例文・類語

ところ‐じち【所質】

  1. 〘 名詞 〙 中世の質取り形式の一つ。債務者に返済を求めて、それに応じなかったときに、債権者が債務者とは無関係の第三者から債権を回収すること。第三者が、いやおうなく債務者に仕立てられたことになる。郷質
    1. [初出の実例]「行泉坊被官夏見亦八号失物押取候。此外巨多失物有之。懸静泉、可所質之由申之云々」(出典親元日記政所賦銘引付・文明五年(1473)一一月一日)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「所質」の意味・わかりやすい解説

所質
ところじち

中世,特に戦国時代に,債務者が契約不履行の際,債権者が動産を差押える行為の一つ。債権,債務に直接関係のない第三者がしばしば質収行為の被害者になる場合が多いのを特徴とし,この点で一般の質取とは異なる。債務者が負債返還要求に応じなかった際,債権者がその損害賠償を求めて,債務者の同国人の動産を私的に差押える行為を国質同郷の者の動産を差押える場合を郷質,さらに座など商工業の組織体の動産を差押える場合を所質といった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「所質」の意味・わかりやすい解説

所質
ところじち

国質

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世界大百科事典(旧版)内の所質の言及

【国質・所質】より

…この語は,地域的政治集団としての守護領国制の成立とかかわって生まれたもので,この時代,そのほか一揆,郷村,郡などの集団に対応し,それぞれ方質,郷質(ごうじち),郡質などが存在した。所質の所という集団がどのようなものであったか現在必ずしも明確にされていないが,近江の都市的な町場であった堅田が所と称され,また山城の大山崎の油座など商工業者の集団にあたえられた特権付与状には,多く国質・所質からの保護がしるされていることなどから,商工業者集団をさすものと想定される。 このような社会慣行として行われた集団間の質取り行為は,ひじょうに古く,氏族制社会において,他の氏族のメンバーに対する氏族のあるメンバーの債権や債務が,彼の氏族の債権・債務であり,そして同時に彼の氏族の全メンバーの債権・債務であるという〈氏族連帯性の原理〉に由来する。…

※「所質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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