国質(読み)くにじち

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

室町・戦国時代に多くみられる質取(しちとり)行為。債務不履行、利権侵害、名誉棄損などの際、当事者以外の者が、たまたま債務者、加害者の同国人であるというだけの理由で、債権者、被害者によって損害賠償のためにその身柄や動産を質にとられること。質取の対象が同郷の者である郷質(ごうじち)、同じ在所(ざいしょ)の者である所質(ところじち)などとともに、債務者、加害者の属する地域の者全員が対象となる点が、この質取行為の特徴である。国の守護(しゅご)、郷、在所の領主が債務者、加害者を処断することで質は返還され、事が落着する場合が多かった。

[神田千里]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 中世、質取り形式の一つ。貸借関係で、貸主が他国人である借主にその負債返還や損害賠償を求めて、借主の代わりに借主の同国人の身柄や財産を質取し、私的に差し押えること。
※政基公旅引付‐文亀元年(1501)八月二二日「或国質、所質と号荷物を留め」

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