手向ける(読み)タムケル

デジタル大辞泉 「手向ける」の意味・読み・例文・類語

た‐む・ける【手向ける】

[動カ下一][文]たむ・く[カ下二]
神仏死者の霊に供物をささげる。「霊前に花を―・ける」
旅立つ人や別れていく人にはなむけをする。「卒業生に別れの言葉を―・ける」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「手向ける」の意味・読み・例文・類語

た‐む・ける【手向】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]たむ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. 神仏や死者に供え物を献じる。また、死者に誇れる行ないの結果などを報告して、その霊を慰める。
    1. [初出の実例]「指進乃のくるすの小野の萩の花散らむ時にし行きて手向(たむけ)む」(出典万葉集(8C後)六・九七〇)
    2. 「仇を屠りて、亡君亡父に手向(タムケ)んずと」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)九)
  3. 旅立つ人にはなむけをする。餞別を贈る。
    1. [初出の実例]「おいぬとも又もあはんとゆくとしに涙の玉をたむけつる哉〈藤原俊成〉」(出典:新古今和歌集(1205)雑上・一五八六)
  4. おだてる。そそのかす。
    1. [初出の実例]「わたしとした事が源兵衛さんに手向(タム)けられ、思はず知らず、これさ手向(タム)けるのではない、大真実ぢゃ」(出典:歌舞伎隅田春妓女容性(梅の由兵衛長吉殺し)(1796)序幕)

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