打・撃・撲(読み)ぶつ

精選版 日本国語大辞典 「打・撃・撲」の意味・読み・例文・類語

ぶ・つ【打・撃・撲】

〘他タ五(四)〙
① たたく。なぐる。また、からだを物に強く打ちつける。うつ。
雑兵物語(1683頃)上「真額をぶてば、なまくら物は鍋の釣の様になるべい
たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉五「三ちゃんを何故ぶつ
博打をする。賭事(かけごと)をする。うつ。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「ぶつに買愛想こそうつきたどら」
③ (時計が打って)時をしらせる。うつ。
※菊池君(1908)〈石川啄木〉三「モウ起きなさいよ、十一時が打(ブ)ったから」
④ 発射する。うつ。
塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉二「鉄砲を打(ブ)たなけりゃア乃公が殺される所だ」
⑤ 語る・演説する意を強めていう。「一席ぶつ」
落語・田舎芝居(1899)〈六代目桂文治〉「それぢゃ一つ芝居演(ブ)つこと連中(みんな)と相談打(ブ)つべエー」
[語誌](1)「うつ」の強調形ととらえることができ、「うつ」に比して口頭語的である。
(2)「ぶつ」が文献に現われるのは、一七世紀後半であるが、接頭語としてはそれより早く、「ぶっきり」という例が「申楽談義」にみえる。
(3)東国方言的要素の強いといわれる「雑兵物語」に多数の例がみられるが、近松浄瑠璃や「狂言記」等にも用例がみられ、東国語に限らず庶民の間で使用されたものと考えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android