うち‐まき【打撒】
〘名〙
① 供物供進の一方法。米をまき散らすこと。特に、
陰陽師が祓
(はらい)、禊
(みそぎ)、病気、出産、
湯殿始めなどの時、悪神を払うために米をまき散らすこと。また、その米。
散米。
※宇津保(970‐999頃)
藤原の君「祓すとも、うちまきに米
(よね)いるべし」
※宇治拾遺(1221頃)六「
御幣紙(ごへいがみ)、うちまきの米ほどの物、慥
(たしか)にとらせん」
※御湯殿上日記‐文明一二年(1480)八月四日「御うちまきのふくろ二宮の御かたへまいる」
ぶん‐ま・ける【打撒】
〘他カ下一〙 (「
ぶん」は
接頭語) 勢いよくまきちらす。また、すべてをさらけ出す。うちあける。ぶちまける。ぶんまく。
※
雑兵物語(1683頃)下「坂からすべって落て、矢をぶんまけた程に」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
打撒
うちまき
祓の際や,神仏に参ったときなどに水に浸した米をまき散らすこと,またその米のこと。散米 (うちまき) とも書き,「さんまい」ともいう。祓に際してまくのは,米のもつ霊力で悪霊や災厄を防除し,心身や四囲を清めようとするためである。社前にまくのは神供としてであり,オサゴ (お散供のなまった語) などとも呼ばれる。賽銭箱が普及して,そこに銭を奉財する習俗が一般化したのは近世になってからであるといわれ,散米の習俗は,その一つ以前の姿を伝えるものである。
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世界大百科事典(旧版)内の打撒の言及
【散米】より
…神や仏に参ったとき供える米,または祓(はらい)や清めの目的でまき散らす米。サンゴ(散供),オサゴ(御散供),ウチマキ(打撒)などといい,白紙に米を包んで一方をひねったものをオヒネリともいうから,もとは神への供え物である米を意味したが,米の霊力によって悪魔や悪霊を祓うためにまき散らすこととなった。たとえば,《延喜式》記載の大殿祭(おおとのほがい)の祝詞の注に,出産にあたって産屋に米をまき散らし,米の霊力によって産屋を清めたことがみえている。…
※「打撒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」