折掛・折懸(読み)おりかけ

精選版 日本国語大辞典 「折掛・折懸」の意味・読み・例文・類語

おり‐かけ をり‥【折掛・折懸】

〘名〙
① 折って引きかけること。
乳付(ちづけ)の幟(のぼり)の上の乳(ち)に通すための折金一方は乳に通し、一方は幟竿に添える。おりがね。
③ 「おりかけばた(折掛旗)」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
信長記(1622)一五下「武田入道信玄の旗は、白き絹五はばの折かけに、くろき割菱付たる五本なり」
※俳諧・曠野(1689)八「折かけの火をとるむしのかなしさよ〈探丸〉」
※歌舞伎・夢結蝶鳥追(雪駄直)(1856)四幕「上の方一間の附屋体(つけやたい)、〈略〉下(しも)の方折掛(ヲリカ)けの竹垣

おり‐か・く をり‥【折掛・折懸】

[1] 〘自カ下二〙 波などが、折り返しては寄せてくる。何度も繰り返す。
堀河百首(1105‐06頃)春「風吹けば浪をりかけてかへりけり岸には植ゑじ山吹の花〈源俊頼〉」
※延慶本平家(1309‐10)五本「つめ寄せて、をりかけをりかけ戦ふ」
[2] 〘他カ下二〙
① 折って物に掛ける。折り曲げて、それを何かに掛ける。
梁塵秘抄(1179頃)二「賤(しづ)の男(を)が篠をりかけて干す衣、いかに干せばか乾(ひ)ざらん乾ざらむ七日乾ざらむ」
② 鎧(よろい)にささった矢などを、折ってそのままにしておく。
保元(1220頃か)上「射向けの袖に立ちたる矢どもおりかけ」
③ 折り取ろうとして中途でやめる。
※俳諧・俳諧新選(1773)一「折懸し藤やぶらりと捻(ねぢ)ながら〈嘯山〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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