信長記(読み)シンチョウキ

精選版 日本国語大辞典 「信長記」の意味・読み・例文・類語

しんちょうきシンチャウキ【信長記】

  1. 江戸前期の伝記。一五巻八冊。小瀬甫庵(おぜほあん)著。慶長九年(一六〇四成立、元和八年(一六二二)刊。信長の右筆太田牛一の「信長公記」をもとにし、これに加筆・訂正増補を行ない、甫庵の論評を加えて成った織田信長の伝記。のぶながき。

のぶながき【信長記】

  1. しんちょうき(信長記)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信長記」の意味・わかりやすい解説

信長記(しんちょうき)
しんちょうき

江戸初期の仮名草子。小瀬甫庵(おぜほあん)作。1622年(元和8)刊。15巻。太田牛一(ぎゅういち)作の実録『信長公記(しんちょうこうき)』を、甫庵が物語風に潤色したのが本書で、保元(ほうげん)の乱以降足利義輝(あしかがよしてる)までの武家政権興亡を序とし、織田信長(おだのぶなが)の先祖の記述から本能寺明智光秀(あけちみつひで)に弑(しい)されるまでの戦闘に明け暮れた生涯を記し、その人物評で結ぶ。『信長公記』は記録性を重んじ、信長の若年の奇行やその後の専制君主ぶりをありのままに描くが、『信長記』は、信長を媒材として儒学の理念を宣揚すべく暴君色をやや薄めている。

村上 学]

『神郡周校注『信長記』上下(1981・現代思潮社・古典文庫)』


信長記(のぶながき)
のぶながき

信長記

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旺文社日本史事典 三訂版 「信長記」の解説

信長記
しんちょうき

江戸初期,小瀬甫庵 (ほあん) による織田信長の伝記
「のぶながき」とも読む。1622年刊。15巻。信長の生涯の履歴を追い,事件に従って記した。太田資房 (すけふさ) (牛一 (ぎゆういち) )の『信長公記』をもととし,教訓的視点が強く,史料的価値は低いが,近世初期の史論としてみるべきものがある。

信長記
のぶながき

しんちょうき

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「信長記」の解説

信長記
(通称)
しんちょうき

歌舞伎浄瑠璃の外題。
元の外題
信長記愛宕連歌 など
初演
明治33.10(東京・歌舞伎座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の信長記の言及

【信長公記】より

…1568年(永禄11)信長上洛以前の行動を記述した首巻1巻と上洛以後の行動を記録した15巻とから成る。15巻の部分には慣例上《原本信長記》と称される写本があり,良質の史料とされてきたが,この書は岡山大学池田家文庫蔵《信長記》15巻15冊で,牛一の自筆を含む善本であり,重要文化財に指定されている。《信長公記》と《原本信長記》との成立事情は必ずしも明らかではないが,前者は記事が豊富であり,首巻を伴っているので一般には利用度が高い。…

【太閤記】より

…甫庵は太閤記の著述にあたって大村由己(ゆうこ)の《天正記》,太田牛一の諸記録,加賀藩の古老横山氏の談話等を素材としたといわれる。この態度は《信長記》の著述にあたって太田牛一の《信長公記》を素材としたのと同軌である。しかし《太閤記》では,古文書の引用に際し自己の見解,主張による改ざんをこころみていることにうかがわれるように,事実の記述というよりは自己の儒教的な政治観の主張に重きを置いているといわれる。…

※「信長記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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