押し出だす(読み)オシイダス

デジタル大辞泉 「押し出だす」の意味・読み・例文・類語

おし‐いだ・す【押し出だす】

[動サ四]
押して外のほうへ出す。
「(くしノ箱ノふたニ)髪の、筋、裾つきいみじう美しきをげ入れて―・す」〈堤・このついで
出衣いだしぎぬをする。押し出す。
きぬのすそ、などは御簾みすにみな―・されたれば」〈・一〇四〉
出す」を強めていう語。
「(銭五百文ヲ)ただ一度に―・して」〈著聞集一二

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「押し出だす」の意味・読み・例文・類語

おし‐いだ・す【押出】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 サ行四段活用 〙
    1. 力を加えて外や前へ出す。物を押して出す。おしだす。
      1. [初出の実例]「御几帳外にをしいださせ給て」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
      2. 「衣(きぬ)のすそ、裳(も)などは、御簾(みす)の外(と)にみなおしいだされたれば」(出典:枕草子(10C終)一〇四)
    2. ( 「おし」は接頭語 ) 「いだす」を強めていう。
      1. [初出の実例]「この銭わづかに五百なれば、あまたたびにいださんもみぐるし。ただ一度にをし出して、うちとられなば、さてこそあらめと思ひて」(出典:古今著聞集(1254)一二)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 サ行四段活用 〙 ( 「おし」は接頭語 )
    1. 大勢そろって、いきおいよく出発する。軍勢が出撃する。
      1. [初出の実例]「播磨国高砂より舟に乗、をしいだひて和泉国にぞ付にける」(出典:平家物語(13C前)八)
    2. 態度、様子などがきわだって見える。特に目立って、晴れがましい。派手である。
      1. [初出の実例]「その心ならひにて、をしいたしたる大所(たいしょ)貴人(きにん)の御まへなどにて」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)六)

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