出衣(読み)イダシギヌ

  • ▽出▽衣
  • だしぎぬ
  • 出▽衣

デジタル大辞泉の解説

直衣(のうし)または衣冠姿で、美しく仕立てた内着の衵(あこめ)の裾先を袍(ほう)襴(らん)の下からのぞかせること。出衵(いだしあこめ)。出袿(いだしうちき)。出褄(いだしづま)。
寝殿牛車(すだれ)の下から、女房装束の袖や裾先を出すこと。うちいでのきぬ。うちだし。
いだしぎぬ」に同じ。
「下簾(したすだれ)より―出して」〈太平記・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

下着の衵あこめや袿うちきの裾をのぞかせて着ること。古くは指貫さしぬきの裾から、のちには直衣のうしや狩衣の前裾からのぞかせた。出褄いだしづま。出衵いだしあこめ。出袿いだしうちき
牛車ぎつしやの下簾したすだれや御簾みすの下から女房装束の袖口や裳の裾などを出すこと。また、その衣。うちいでのきぬ。おしいだしぎぬ。 下簾より-をいだして女房車の体に見せ/太平記 2

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 直衣(のうし)姿の晴(はれ)の風流の装飾。時に衣冠姿にも行なう。下着の衵(あこめ)の重ねを美麗に仕立て、前身を指貫(さしぬき)に着籠めずに、裾先を袍(ほう)の襴(らん)の下からのぞかせること。出衵(いだしあこめ)。出打着(いだしうちき)。出褄(いだしづま)
※讚岐典侍(1108頃)下「すはうのこき、うたるくはうこくの出しきぬ入てもてつづきたる」
② 牛車の簾(すだれ)の下から女房装束の裾先を出して装飾とすること。寝殿の打出(うちで)のように装束だけを置いて飾りとするが、童女の車は実際に乗って童女装束の汗衫(かざみ)や袴の裾を出す。→出車(いだしぐるま)
※弁内侍(1278頃)寛元四年四月一日「平野の祭なり。上卿土御門大納言〈顕定〉。弁〈経俊〉。車〈すけつぐ〉。くやく〈ときつな〉。いだしぎぬ〈若かへで〉」
③ 模様や意匠などを表に打ち出したり押し出したりした衣。
〘名〙 衵(あこめ)の重ねや女房装束の裾先を衣服や簾の下から出して装飾とすること。→いだしぎぬ
※太平記(14C後)二「下簾より出絹(タシキヌ)出して女房車の体に見せ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の出衣の言及

【衣】より

…このように平安末期ころから直衣や狩衣の下着を〈きぬ〉といってきたが,その色には束帯の衵のように紅だけとは限らず,薄色,萌黄(もえぎ),蘇芳(すおう),紅梅,女郎花(おみなえし)などがあり,白は老年者や平生衣に用いられ,地質も綾,浮織物,唐織物などいろいろなものが用いられた。 なお直衣のときには,この衣を指貫(さしぬき)の上に着て,その褄(つま)を直衣下から出す着方があり,これを出衣(いだしぎぬ)といった。この方法はまた衣冠のときにも行われ,出袿(いだしうちぎ),出衵(いだしあこめ)ともいった。…

※「出衣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

ソーシャル・ディスタンシング

感染症の予防戦略の一つで、有効な治療薬や予防薬などがない重大な感染症が国や地域に侵入した場合に、人の移動や社会・経済活動に制限を加えて、人同士の接触を減らす取り組みのこと。例えば、学校・保育施設の一時...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android