押し立つ(読み)オシタツ

デジタル大辞泉 「押し立つ」の意味・読み・例文・類語

おし‐た・つ【押し立つ】

[動タ四]
どっしりと立つ。
「不動、火炎の前に―・ち」〈沙石集・二〉
相手の気持ちを考えずに、無理押しする。を張る。
「今の人の親などは、―・ちて言ふやう」〈堤・はいずみ
[動タ下二]おしたてる」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「押し立つ」の意味・読み・例文・類語

おし‐た・つ【押立】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 タ行四段活用 〙 ( 「おし」は接頭語 )
    1. 「立つ」を強めていう。両足を踏んばって立つ。立ちはだかる。
      1. [初出の実例]「不動、火炎の前にをしたち、〈略〉蘇生(そせい)しけり」(出典:梵舜本沙石集(1283)二)
    2. 自分勝手にふるまう。我(が)を通す。無理押しする。強引に行なう。
      1. [初出の実例]「かの君のおしたちあしきにもあらず」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
      2. 「時の人の御族(ぞう)とておしたちてあらんかし」(出典:落窪物語(10C後)四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙おしたてる(押立)

押し立つの補助注記

「色葉字類抄」「伊呂波字類抄」「運歩色葉集」などでは、「」の字に「ヲシタツ」「ヲシタツル」の訓を付ける。「辷」の字と同様の国字であろう。

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