挙げ句(読み)あげく

精選版 日本国語大辞典 「挙げ句」の意味・読み・例文・類語

あげ‐く【挙句・揚句】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 連歌連句の最後の七七の句。⇔発句(ほっく)
    1. [初出の実例]「あげ句を書き懐帋をばとづるへし」(出典:長短抄(1390頃)下)
  3. ( 転じて ) 物事の終わり。終わってからの結果。また、ある地位、職業などを終わって他に移って来たことや、その人。
    1. [初出の実例]「大水のあけくは旱であらうずほどにとて、車をこしらへて待ぞ」(出典:史記抄(1477)一九)
    2. 「新道のお増なんぞもそれしゃの上句(アゲク)だから」(出典:人情本・英対暖語(1838)四)
  4. ( 単独、または「に」を伴って副詞的に ) 結局のところ。その結果として。とどのつまり。現在では、上に連体修飾語をのせて用いることが多い。
    1. [初出の実例]「皆力のつよい者ぢゃが、あげくにわどれも人に殺されて死で」(出典:史記抄(1477)一一)
    2. 「ひどく心配したあげくに」(出典:半日(1909)〈森鴎外〉)

挙げ句の語誌

( 1 )の例は抄物を中心として室町期には少なからず見られ、転義が早い時期に進んでいたことが推測される。「風姿花伝‐三」「花鏡‐序破急之事」といった世阿彌の著作にもこの語が使用されており、連歌と他の中世芸能との用語及びその概念上の関連が注目される。を強めた言い方が「あげくのはて」であるが、「書言字考節用集‐九」には「俗語」という注記がある。
( 2 )現代語では、動詞助動詞連体形多くは助動詞「た」)を受けて、接続的な働きをすることが多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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