捏ね返す(読み)コネカエス

デジタル大辞泉 「捏ね返す」の意味・読み・例文・類語

こね‐かえ・す〔‐かへす〕【×捏ね返す】

[動サ五(四)]
何回も繰り返してこねる。こねくりかえす。「そば粉をなん回も―・す」
物事をあれこれいじくりまわす。
「どう腹の中で―・しても、つまりおとよさんは憎くない」〈左千夫・隣の嫁〉
往来する人でごったがえす。
「―・す道も師走の市のさま/曽良」〈続猿蓑
[類語]かき回すね回す練る捏ねる捏ねくる捏ね上げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「捏ね返す」の意味・読み・例文・類語

こね‐かえ・す‥かへす【捏返】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行五(四) 〙
    1. 物事が複雑にいりくむ。紛糾する。ややこしくなる。
      1. [初出の実例]「釣針にねこがかかってこねかへす」(出典:雑俳・住吉みやげ(1708))
    2. 狭い場所にあれこれ入り乱れる。ごったがえす。
      1. [初出の実例]「こねかへす道も師走の市のさま〈曾良〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)冬)
    3. どうにか生活してゆく。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
    1. 手や棒状のものを土や粉状のものに突き入れて何度もかきまぜる。こねまわす。こねくり返す。
      1. [初出の実例]「一千余の人数を卒して西岡南村へ相はたらき、民屋を放火し、植田をこね返し」(出典:室町殿日記(1602頃)四)
    2. 物事をいじくりまわす。また、その結果として混乱させる。紛糾させる。こねまわす。
      1. [初出の実例]「十人の中に、八人九人は、無心懸の弱者共に、こね返され」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品一三)
      2. 「どう腹の中でこねかへしても、つまりおとよさんは憎くない」(出典:隣の嫁(1908)〈伊藤左千夫〉三)

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