続猿蓑(読み)ゾクサルミノ

デジタル大辞泉 「続猿蓑」の意味・読み・例文・類語

ぞくさるみの【続猿蓑】

江戸中期の俳諧集。2冊。沾圃せんぽが撰したものに芭蕉支考加筆したとされる。元禄11年(1698)刊。蕉門連句発句が集められ、「軽み」の作風が示される。俳諧七部集の一。後猿蓑

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精選版 日本国語大辞典 「続猿蓑」の意味・読み・例文・類語

ぞくさるみの【続猿蓑】

  1. 俳諧撰集。二冊。沾圃ら編。元祿一一年(一六九八)刊。「猿蓑」の続篇で蕉門の連句・発句が集められ、「炭俵」と同様「軽み」の作風が展開されている。芭蕉の監修、支考の加筆があったと推定されている。俳諧七部集の一つ。後猿蓑。

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改訂新版 世界大百科事典 「続猿蓑」の意味・わかりやすい解説

続猿蓑 (ぞくさるみの)

俳諧撰集。沾圃(せんぽ)等編。上下2巻。1698年(元禄11)刊。越人(えつじん)の《不猫蛇(ふみようじや)》以後,支考の偽撰かと疑う説があったが,芭蕉書簡などによれば,沾圃の発案により,芭蕉が1694年閏5月ころには編集に着手,同年9月ころ支考とともに検討,去来序文なども予定していたらしい。ところが,業なかばにして芭蕉が死んだため,おそらくは支考の加筆修正を経て,芭蕉の兄松尾半左衛門の元にあった草稿によって出版したものと考えられる。内容は,上巻に芭蕉の〈八九間空で雨降る柳かな〉を発句とする歌仙など5歌仙と,支考の俳文〈今宵賦〉を,下巻には蕉門諸家の発句410余を収めている。《別座鋪(べつざしき)》《炭俵》などとともに芭蕉晩年の軽みの風を代表する撰集である。芭蕉は《猿蓑》の続編として,また,好評の《炭俵》等に劣らない撰集とするために大いに力を入れたことが,その書簡からうかがわれる。《俳諧七部集》の一つ。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「続猿蓑」の意味・わかりやすい解説

続猿蓑
ぞくさるみの

俳諧撰集(はいかいせんしゅう)。二冊。沾圃(せんぽ)ら編。1698年(元禄11)刊。「俳諧七部集」の第七集。別称「後(のち)猿蓑」「猿蓑後集(こうしゅう)」。上巻は連句集で、「八九間空で雨降る柳かな」を立句とする芭蕉(ばしょう)、沾圃、馬莧(ばけん)、里圃(りほ)の四吟歌仙一巻をはじめとして歌仙五巻を収録。下巻は発句(ほっく)集で、四季部類に釈教・旅の部を加え、芭蕉、支考、沾圃、馬莧、里圃、惟然(いねん)、曲翠(きょくすい)、乙州(おとくに)、丈草(じょうそう)らの作が入集(にっしゅう)する。ほかに、上巻に支考の俳文「今宵賦(こよいのふ)」が収録されている。本書は、芭蕉没後の刊行で、跋文(ばつぶん)でも明らかなように未定稿の要素が多く、支考偽撰説も出されたが、残された書簡などから、芭蕉の後見になることは疑問の余地がない。全体に『炭俵』の延長線上にあり、芭蕉晩年の「かるみ」をよく示している。

[雲英末雄]

『中村俊定校注『芭蕉七部集』(岩波文庫)』『堀切実著「『続猿蓑』試論」(『蕉風俳論の研究』所収・1982・明治書院)』

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