掻き払う(読み)カキハラウ

デジタル大辞泉 「掻き払う」の意味・読み・例文・類語

かき‐はら・う〔‐はらふ〕【×掻き払う】

[動ワ五(ハ四)]
勢いよく横に打ち振る。
「白い薄雲刷毛先はけさきで―・ったあとの様に」〈漱石三四郎
じゃまなものを除き去る。また、手で払う。払いのける。
「涙のこぼるるを―・ひ給へる御手つき」〈須磨
掃き清める。
「きたなき所は、―・ひかきのごはすとて」〈宇津保・祭の使〉
連用形を副詞的に用いて)一つも残らないようにする。残らず全部。すっかり。
「西の宮は、流され給ひて三日といふに―・ひ焼けにしかば」〈かげろふ・中〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掻き払う」の意味・読み・例文・類語

かき‐はら・う‥はらふ【掻払】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 手や道具などで、とりのぞく。また、(涙などを)払いのける。
    1. [初出の実例]「御前の草のいとしげきを、『などか、かきはらせでこそ』といひつれば」(出典:枕草子(10C終)一四三)
    2. 「涙こぼるるをかきはらひ給へる御手つき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
  3. ( 「かき」は接頭語。多く、連用形を副詞的に用いて ) 一つも残らないようにする。すっかりなくす。
    1. [初出の実例]「この家にありける物どもを、今の妻(め)のがりかきはらひもて運び行く」(出典大和物語(947‐957頃)一五七)
  4. 掃いてきれいにする。掃除する。
    1. [初出の実例]「きたなきところは、かきはらひかきのごはすとてなむ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  5. 勢いよく横に打ち振る。
    1. [初出の実例]「刷毛先で掻(カ)き払(ハラ)った痕の様に、筋違(すぢかひ)に長く浮いてゐる」(出典:三四郎(1908)〈夏目漱石〉二)

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