日本歴史地名大系 「播磨名所巡覧図会」の解説
播磨名所巡覧図会
はりまめいしよじゆんらんずえ
五巻五冊
別称 「播州名所巡覧図絵」ほか 村上(秦)石田著 中井監江画
成立 享和三年序・跋 文化元年刊
版本 兵庫県立図書館ほか
解説 第五巻末尾に付載された塩屋忠兵衛蔵版目録の説明文によると大坂より播州室津までの紀行・神社・仏閣・故事・来歴・名所・古跡・山川・浦々・宿駅など、絵図を正写し、俗語をも集め、名所考察の便としたものであるが、播磨最西端の赤穂に至るまで詳しく紹介している。ただしこれは海岸地帯に限定してのことで、内陸部については加西郡の一乗寺と加東郡の清水寺の紹介にとどまっている。したがって本書を播磨の地誌とみる場合、摂津海岸地帯の地誌を含む(第二巻の中ほどまで)反面、播磨内陸部の大部分の地誌を欠くことになる。本文の記述内容は各地域に関する文献を丹念に調査した形跡がうかがえて参考になる点が少なくない。版本は文化元年に大坂の柏原屋清右衛門・同与左衛門・勝尾屋六兵衛・塩屋忠兵衛が共同出版したものが代表的な刊本であるが、ほかにも出版年を記していない河内屋喜兵衛ほか一一軒の共同出版本、刊記がなく河内屋太助蔵版目録を付載している出版本などの諸版がある。
活字本 昭和四九年刊、昭和四九年「日本名所風俗図会」第一三巻所収
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報