改訂新版 世界大百科事典 「政府契約」の意味・わかりやすい解説
政府契約 (せいふけいやく)
国を一方の当事者とする契約で,予算の執行方法として締結される私法契約。政府契約については,〈政府契約の支払遅延防止等に関する法律〉(1949公布)において,〈国を当事者の一方とする契約で,国以外の者のなす工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入に対し国が対価の支払をなすべきものをいう〉(2条)と定義され,その締結,対価の支払等が規制されている。物品の納入契約や土木建築請負契約などが典型的な政府契約である。従来,行政主体相互間の事務委託契約や報償契約等は公益にかかわるがゆえに公法契約とされ,私法契約とされる政府契約等と区別されてきた。これに対し,近年,契約的活動を通じて行われる現代行政の民主的統制を確保する趣旨や,上記の法律のように,私法契約にも公益的見地からの規制もあることから,公法・私法の区分が相対化しつつあることに着目して,これらを行政契約と観念して特有の法理を検討することが適切である,とする考え方がみられる。このような行政契約の考え方からすれば,行政主体をその一方または双方の当事者とする契約をひろく行政契約と呼ぶことから,政府契約はその一種ということになる。なお,政府契約も含まれる国の私法契約の締結は,会計法(第4章)等の法令にもとづいて行われる。
執筆者:福家 俊朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報