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行政契約 ぎょうせいけいやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

行政契約
ぎょうせいけいやく

国または公共団体が相手方ないし当事者となる契約。従来の学説は行政上の契約を公法に属する公法契約と私法に属する私法契約とに二分し,公法上の契約のみを行政法学の対象としてきた。近時においては,行政契約をより広い概念と理解し,各個の法律関係を具体的に検討しようとする傾向が生じている。行政契約には,関係公共団体間の協議 (地方自治法 244の3) や民間委託契約などの組織法上の契約のみならず,作用法上の契約として,行政上の事務に関する契約,政府契約,国有財産または公有財産貸付けまたは売渡し契約,資金交付契約,公務員の雇用契約,国公立学校の在学契約,公企業の利用契約および公害防止協定などがある。

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デジタル大辞泉の解説

ぎょうせい‐けいやく〔ギヤウセイ‐〕【行政契約】

行政主体相互間または行政主体私人間において、公法上の効果の発生を目的とする契約。報償契約など。公法上の契約。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎょうせいけいやく【行政契約】

国や地方公共団体がその相互間でまたは国民との間で結ぶ契約。〈行政上の契約〉ともいう。行政活動は命令や許可・認可など公権力の行使としてなされる行政行為が主な形式となるが,行政機能が多様化し権力的方式への批判が強くなるとともに,当事者間の合意によって成立する契約が従来にも増して広く用いられるようになる。公用のための用地買収,私有地等を借り受ける公用負担契約,国有・公有財産の貸付・売渡契約,政府契約と総称される物品納入契約・公土木建築請負契約・製造請負契約,それに国や地方公共団体の相互間での事務委託契約は伝統的なものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

行政契約
ぎょうせいけいやく

行政主体が他の行政主体または私人との間で締結する契約をいう。行政主体相互間の契約として、地方公共団体相互間の事務委託(地方自治法252条の14、学校教育法40条)、道路・河川の費用負担の協議(道路法54条、55条、河川法65条、66条)、地方税の課税に関する協議(地方税法8条1項)、地方税の徴収の嘱託(同法20条の4)、普通地方公共団体の区域外での公の施設の設置に関する協議(地方自治法244条の3)などがある。行政主体と私人の間の契約は、調達(政府)契約、報償契約、公害防止協定、保険医の指定など多数ある。私人相互間の契約でも、収用委員会の協議の確認を得た起業者と土地所有者等との間の協議(土地収用法116条以下)、建築協定(建築基準法69条以下)、緑地協定(都市緑地法45条以下)は行政上の効力を有するので、行政契約である。
 伝統的には公法と私法の区別の存在を前提として、公法上の契約と私法上の契約の区別がなされてきた。しかし、現行法上はこの区別の基準も明らかでなく、区別の実益もほとんど存在しないので、今日では公法か私法かを論ぜず、行政が当事者となり、または行政的意義のある契約を行政契約として考察の対象としている。
 行政契約のうち、とくに重要であり実例の多いのは、行政主体と私人の間の契約である。このうち、調達契約は一括競争入札によるのが原則であるが、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法も例外的に認められる(会計法29条の3、29条の5、地方自治法234条)。貿易自由化のために国等が一定価格以上の産品を調達するときは、外国企業が不利にならない入札手続によることが必要である(国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令=昭和55年政令第300号)。国等が物件の買入れ等の契約を締結する場合においては、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」(昭和41年法律第97号)により題名どおりの努力をすることが求められている。
 公害防止協定は、公害発生源たる企業等と自治体もしくは住民との間の公害防止を目的とする取決めをいう。法令が定めるより以上に企業に厳しい内容を有するのが通常である。[阿部泰隆]

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世界大百科事典内の行政契約の言及

【政府契約】より

…従来,行政主体相互間の事務委託契約や報償契約等は公益にかかわるがゆえに公法契約とされ,私法契約とされる政府契約等と区別されてきた。これに対し,近年,契約的活動を通じて行われる現代行政の民主的統制を確保する趣旨や,上記の法律のように,私法契約にも公益的見地からの規制もあることから,公法・私法の区分が相対化しつつあることに着目して,これらを行政契約と観念して特有の法理を検討することが適切である,とする考え方がみられる。このような行政契約の考え方からすれば,行政主体をその一方または双方の当事者とする契約をひろく行政契約と呼ぶことから,政府契約はその一種ということになる。…

※「行政契約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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