新人画会(読み)しんじんがかい

改訂新版 世界大百科事典 「新人画会」の意味・わかりやすい解説

新人画会 (しんじんがかい)

太平洋戦争中に活動した洋画家のグループ。1943年4月,美術文化協会に属する靉光麻生三郎糸園和三郎井上長三郎寺田政明,二科会の松本竣介ノバ(NOVA)の鶴岡政男,独立美術協会の大野五郎が集まって結成した。すでに社会は戦時色一色に塗りこめられ,美術界にも戦争遂行へ協力が求められて従事する画家が多く,戦意昂揚のためのいわゆる戦争画が盛んに描かれていた。そうした状況の中で,これらの画家たちは,市民としての立場を守り,表現に人間性を失うまいとして結束した。結成と同時に第1回展を,11月に第2回展を東京銀座の日本楽器画廊で開き,翌年9月に第3回展を資生堂画廊で開いた。空襲激化,靉光や麻生応召などで継続が困難になり,3回の展覧会だけで消滅したが,戦後美術の出発は,画家の良心を守ったことで自己内部の挫折を経験しないですんだ彼らの活躍にまつところが多かった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の新人画会の言及

【麻生三郎】より

…福沢一郎を中心に結成されたシュルレアリスムのグループ〈美術文化協会〉に参加して,内省的な自画像を発表する。戦時下にあって作家的良心を貫く〈新人画会〉の結成にも加わって抵抗の姿勢を保持。戦後は灰褐色の独特のマチエールで孤独な人間像を描く。…

※「新人画会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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