知恵蔵 「新広島市民球場」の解説
新広島市民球場
現在のセントラルリーグの本拠地球場では唯一、内外野ともに天然芝である。
球場規模は、左翼101m、中堅122m、右翼100mと、旧球場に比べ中堅約6m、左右は約9m広くなった。
JRに隣接する左翼スタンドは右翼スタンドにくらべて狭く、グラウンドがJR線路側へ大きく開いた形となっている。このため、観客席から市街地やその向こうの山並みまで見通すことのできる開放感、通風、街との一体感が得られ、また新幹線などのJR車窓から、球場の歓声や熱気を感じられると期待される。日本では珍しい左右非対称の球場だ。
観客席は3万3000人収容で、座席は幅50cm、奥行き85cmと米大リーグの球場並みの広さを確保した。本塁後方など5カ所にはグラウンドより掘り下げた場所に「砂かぶり席」が設置され、ベンチの選手と同じ目線の高さで迫力あるプレーが堪能できる。その他、スイートルーム、パーティーフロア、テラスシート、パフォーマンスシートなど多彩な席が設けられた。
1階観客席の最後部のコンコースは、幅が広く段差のないバリアフリー設計で、歩いて球場を周回することができる。場内には、約300席分の車いすスペースを確保し、オストメイト(肛門(こうもん)・ぼうこうの切除手術を受け、腹壁に人工的に排泄のための穴=ストーマを造設されている方)対応型多目的トイレなどを設置するなど、障害者・高齢者・小さな子供にも優しい設計がなされている。
地元開幕戦である2009年4月10日の中日戦がこけら落としとなる。
(葛西奈津子 フリーランスライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報