オストメイト(読み)おすとめいと(その他表記)ostomate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オストメイト」の意味・わかりやすい解説

オストメイト
おすとめいと
ostomate

人工肛門(消化管ストーマ)や人工膀胱(ぼうこう)(ウロストーマ)保有者。全国で10万人ほどいるとされている。ストーマstomaとはギリシア語で「口」を意味し、腸管または尿管の内容物を排泄(はいせつ)するために皮膚にあけられた人工的な孔(あな)をさす。

 日本のストーマケアの歴史は古く、専門的なストーマの管理や受容に対する精神的サポートも含めたケアの方法について多くの研究が重ねられ、ストーマケアに特化した専門部門としてストーマ外来を置く医療施設も多い。また1960年代の後半から、患者同士が社会復帰を目ざして互いに助け合うことを目的に「オストメイト・クラブ」(オストミークラブ)が設立されるようになった。世界的には1949年にアメリカのフィラデルフィア陸軍に所属するオストメイトが集まり、互いの情報を持ち寄って話し合ったのが最初である。日本では「日本オストミー協会」が中心となって、オストメイトが安心して暮らせる社会を目ざし、社会復帰の推進とクオリティ・オブ・ライフQOL)の向上に向けて活動を行っている。また新しいオストメイトに対し、社会復帰した経験もと指導・助言してくれる先輩である「オストミー・ビジター」の養成にも力を入れている。さらにオストメイトがストーマ装具を交換する作業スペースを備えたトイレも考案され、設置する公共施設も増えている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵mini 「オストメイト」の解説

オストメイト

便や尿を排泄するための人工肛門・人工膀胱(総称「ストーマ」)をもっている人のこと。病気や事故などにより腸や尿管が損なわれた場合などに、手術により主に腹部にストーマが造設される。取りつけられた袋に便や尿が溜まるようになっており、自分あるいは介護者などが取り外して中身を処理する。ストーマには、治療のために一時的に取りつけるものと、永続的なものとがあり、永久造設のストーマをもつオストメイトは主として4級の身体障害者手帳を取得することができる。公益社団法人日本オストミー協会(1969年創設)によると、2015年現在、国内のオストメイトは約20万人とされている。ストーマは服の下にあり見えず、また出歩くことなど一般的行動ができる人も多いため、身体障害者と思われにくい傾向がある。近年ではストーマ装具を交換する機能をもったトイレなどが増えてきており、専用のマークも考案されているが、理解が十分広まっていないとの指摘がある。

(2016-3-28)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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