新生児けいれん
しんせいじけいれん
Neonatal convulsions
(子どもの病気)
けいれんは体の一部が発作的に不随意に収縮することで、ひきつけと同じ意味です。持続的な強い収縮を強直性、反復性で規則的なものを間代性といい、新生児期には微細発作といわれる特殊なけいれんを多く認めます。
新生児けいれんはその原因に何らかの基礎疾患がある場合が多く、症候性けいれんといえます。
原因としては頭蓋内疾患(低酸素性虚血性脳症、頭蓋内出血、脳損傷、脳奇形)や代謝異常(低血糖、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、電解質異常、アミノ酸代謝異常症、尿素サイクル異常症、有機酸代謝異常症)、感染症、母体の薬物の影響など多岐にわたります。家族性良性新生児けいれんやfifth day fitsといわれる一過性の良性のものもあります。
大脳が未熟なため、微細発作(目の凝視、まばたき、口をもぐもぐさせる、自転車のペダルをこぐような動きなど)という特殊なけいれんを起こします。そのほか、間代性けいれん(主に成熟児)や強直性けいれん(主に未熟児)も認めます。
睡眠時のぴくつきや、自動運動(暗がりでの眼の錯覚による動き)との区別も重要です。
ただちに体温、呼吸、心拍などのモニター管理を行い、血糖、電解質、アンモニア、ビリルビン、CRPなどの血液検査や髄液検査を行い、静脈ルートを確保します。可能ならば脳波検査を行います。
基礎疾患の治療と抗けいれん薬の投与を行います。抗けいれん薬としてはフェノバルビタール(フェノバール)、ミダゾラム(ドルミカム)、ジアゼパム(セルシン)、リドカイン(キシロカイン)などがあります。
けいれんの形態を観察し、持続時間を計ります。同時に医療機関にただちに連絡し、小児科医の診察を受けてください。
和田 雅樹
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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新生児けいれん
しんせいじけいれん
convulsion of the newborn
neonatal seizure
新生児にみられるけいれんは、成人のような全身性の間代性のけいれん(拮抗(きっこう)筋が交互に収縮と弛緩(しかん)を繰り返し、全身が小刻みにふるえる)はほとんどみられず、体の一部のみのけいれんが時間の経過とともに他の部分に移っていく型、および口唇をもぐもぐさせたり顔をしかめたりというような非定型なけいれんが主である。これは、新生児の脳の発達が不十分なため、けいれん発作をおこす電気的な刺激が一斉に脳全体に広がらないことによると考えられている。
けいれんの原因は、低出生体重児(出生体重が2500グラム未満の新生児)や母体糖尿病児では低血糖や低カルシウム血症などの頻度が高く、仮死で出生した児においては頭蓋(とうがい)内出血や低酸素性脳症が、さらに感染が疑われる児では髄膜炎がそれぞれ重要な原因疾患となる。低血糖や低カルシウム血症による場合は、早期にグルコースおよびカルシウムの投与をすれば予後は良好である。頭蓋内出血や低酸素性脳症の場合の予後は、治療そのものより発見時の重症度により大きく異なる。
[仁志田博司]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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