新納氏(読み)にいろうじ

改訂新版 世界大百科事典 「新納氏」の意味・わかりやすい解説

新納氏 (にいろうじ)

南九州の武家薩摩大隅・日向守護家島津氏の4代忠宗の子時久は,1335年(建武2)日向国新納院(現,宮崎県児湯郡高鍋町付近)の地頭職を与えられ,その所領地名をとって姓とした。当時島津5代貞久は新しく日向経営にのり出し,兄弟を日向に分置し新納氏のほか北郷氏,樺山氏と分家をたてた。しかし新納院は日向大将畠山直顕(ただあき)にすぐ奪われたので,新納氏は57年(正平12・延文2)ころから1538年(天文7)まで志布志松尾城を居城とした。初代時久以後,実久,忠臣,忠治,忠続,忠明,忠武と同城で,島津氏の大隅・日向経営の第一線にあった。忠武の子8代忠勝は1538年豊州島津家忠朝,肝付兼興らに追われ日向櫛間院(現,宮崎県串間市)へ隠退し,9代忠茂は佐土原の伊東氏へ走った。これに対し忠治の子是久に始まる分家の子孫には戦国大名島津忠良方として働いた者が多く,その中には忠元,忠尭,忠増,康久,旅庵などがいる。江戸時代に入ってからも一族から島津氏の家老級の者を輩出させ名家とされていた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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