普及版 字通 「旃」の読み・字形・画数・意味


10画

(異体字)
19画

[字音] セン
[字訓] はた・これ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
字はもと(ぜん)に従い、声。のち亶・丹(たん)に従う。〔説文七上に「旗の曲なるものなり。士衆旃表する以(ゆゑん)なり」という。曲旃は大夫の用いるもの。〔周礼、春官、司常〕に「帛をと爲す」とあり、通帛とは大赤、画飾のない赤旗である。金文にも〔麦尊〕に「侯、赤舟(せききしう)に乘る」、また〔番生(ばんせいき)〕に「朱」を賜う例がある。が旃の初文。〔詩、魏風、陟(ちよくこ)〕に「上(ねが)はくは旃(こ)れを愼めや」のように、旃を「これ」の意に用いる。〔左伝〕によると、それは晋の地の方言である。「之焉」の合音にあたるものであろう。

[訓義]
1. はた、柄のまがったはた、画をかかない赤旗。
2. 氈と通じ、とばり、けおりもの。
3. これ。

[古辞書の訓]
名義抄〕旃 ユク・タハム・コレ・ホドコス 〔字鏡集〕旃 コレ・ホドコス・コレヨリ・ハタ・タハム

[語系]
旃()tjian、丹tanは声が近い。金文にはとしるしており、亶tanの声。旦も同声。氈tjianも声が近く、旦朱の意を含むかと思われる。旃は卜文にnjiamに従う形に作る。

[熟語]
・旃旃裘旃旌旃席旃帳旃旆・旃表旃旄旃毛・旃
[下接語]
華旃・画旃・曲旃・建旃・戎旃・旌旃・丹旃・門旃・流旃


19画

(異体字)旃
10画

[字音] セン
[字訓] はた

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は亶(せん)。〔説文〕七上に「旃は旗の曲なるものなり。士衆を旃表する以なり」とし「禮に曰く、帛をと爲す」と〔春官、司常〕の文を引き、旃の或る体としてを録する。通帛とは一色の帛で作るもの。周では赤を用いた。

[訓義]
1. はた。
2. 字はまた旃に作る。語彙は旃字条参照。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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