日本語入力システム(読み)にほんごにゅうりょくしすてむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本語入力システム」の意味・わかりやすい解説

日本語入力システム
にほんごにゅうりょくしすてむ

電子機器(とくにパソコン、タブレット型端末、スマートフォン)において日本語の入力を可能にするソフトウェア。パソコンに代表される電子機器は本来アルファベット(ラテン文字)26文字と半角の数字や記号など(1バイト文字)で制御するようにつくられているが、日本語で使用する仮名漢字、全角の数字や記号など(2バイト文字)の入力を可能にするのがこのシステムである。ローマ字入力モードやかな入力モードで入力した文字を漢字や仮名交じりの日本語に変換し、コンピュータの処理にゆだねる。初期のコンピュータやMS-DOS(エムエスドス)の時代は、日本語入力システムの動作がコンピュータの主動作に影響を与えないように別プロセッサー(処理装置)などで処理を行っていたことからフロントエンドプロセッサーFEP)とよばれていた。現在ではそうした日本語入力システムをWindows(ウィンドウズ)ではインプットメソッドエディターInput Method Editor(IME)、Mac OS(マックオーエス)ではインプットメソッドInput Method(IM)とよぶ。おもな日本語入力システムを以下にあげる。

Microsoft(マイクロソフト) IME マイクロソフト社がWindowsに標準で搭載しているシステム。略称MS-IME

ATOK(エイトック) ジャストシステム社が提供するシステム。1980年代に同社が開発したワープロソフト(「一太郎」の前身)に搭載されて以降、日本語変換効率の高いIMEとして人気を博している。Windows、Mac OS、Android(アンドロイド)用のアプリケーションも販売され、iOS(アイオーエス) 8以降はiOS用のアプリも販売されている。

Google(グーグル)日本語入力 グーグル社が開発・提供しているシステム。2010年12月に正式版が公開された。フリーウェアで、Windows、Mac OS、Android用のアプリケーションが配布されている。とくに固有名詞などインターネットから収集した豊富な語彙(ごい)と、サジェスト機能による変換効率の高さが特徴である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本語入力システム」の意味・わかりやすい解説

日本語入力システム
にほんごにゅうりょくシステム

コンピュータで日本語の文章を入力するための基本的なソフトウェア。かなやローマ字で入力した読みを自動的に漢字とかな交じりの文章に変換する,かな漢字変換機能を備えている。 1978年,東芝が日本語ワードプロセッサ JW-10を初めて実用化したときに開発したのが,コンピュータによる日本語情報処理の端緒となった。その後さまざまなソフトウェアが発表され,ジャストシステムが開発したワードプロセッサソフトの一部を製品化した ATOKや,マイクロソフトのウィンドウズに標準装備される MS-IMEなどは有名。かなの入力方法にはローマ字入力,かなキーボードからの入力,富士通がワードプロセッサ OASYSで採用した親指シフト入力などがある。

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