日米基本労務契約(読み)にちべいきほんろうむけいやく

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日米基本労務契約
にちべいきほんろうむけいやく

日本、アメリカ両政府間において、米駐留軍の労務を充足することを目的として締結された契約。第二次世界大戦後の占領期間中であった1951年(昭和26)在日米軍基地における労務者採用について旧基本労務契約が結ばれたが、サンフランシスコ講和条約の発効後、保安解雇の規定など米軍本位の労務体制に対して反対運動が起こり、1957年現行基本労務契約が調印された。基本労務契約の概略的内容は次のとおり。

 第一に、日本政府は米軍が要求した場合、在日米軍の必要とする日本人労務者を提供すること。その際アメリカ政府は、日本政府が本契約の結果負担し法律上支払うべき経費を補償すること。第二に、日本政府は法律上の雇用主としての立場にたち、駐留軍労働者に対して賃金などを支払い、日本の法令に従って団体交渉を行う責任を有すること。第三に、労務管理については、「人事措置は、この契約に別段の定めがある場合を除き両当事者(日米両政府)の相互の合意にもとづきとられるものとする」(基本契約8条(a))こと。しかし実際には、在日米軍が労務管理を専権的に行っており、日本政府は単なる労務提供者にすぎない立場にある。また労務者の解雇決定の権限は、実質的にはアメリカ政府の側にある。

[村下 博]

在日米軍における日本人労働者

在日米軍の労務管理における日本人労務者の立場は複雑で、日米安全保障条約、日米地位協定に基づき、基本労務契約MLC(Master Labor Contract)、船員契約MC(Mariner's Contract)、諸機関労務協約IHA(Indirect Hire Agreement)という三つの労務提供契約によっている。MLCの対象は、米軍の業務に従事する事務、技能、警備、消防などの労務者、MCの対象は、非戦闘用船舶で勤務する労務者、IHAの対象は、独立採算制による米軍施設(クラブ、売店など)の労務者である。これらの労務提供契約が防衛省と米軍の間で締結され、防衛省が雇用し米軍に提供する間接雇用方式がとられている。

[村下 博]

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