日本大百科全書(ニッポニカ) 「日蓮上人註画讃」の意味・わかりやすい解説
日蓮上人註画讃
にちれんしょうにんちゅうがさん
絵巻。5巻。京都・本圀寺(ほんこくじ)蔵。単に「註画讃」ともいう。室町時代の作。日蓮上人の伝記を描いたもので、第1巻の序文によれば、上人の高徳をたたえるためにその伝記を描き、注を加えたもの。誕生から入滅まで一代の聖跡が32項の項目をたてて表され、詞(ことば)は漢文で書かれている点、他にあまり例をみない。奥書により天文(てんぶん)5年(1536)若狭(わかさ)国(福井県)長源寺において、安立院権大僧都(ごんのだいそうず)日政(にっせい)が勧進して画工窪田統泰(くぼたむねやす)に描かせたとわかる。絵は土佐派風に漢画の手法を交えた画風で、綿密な描写に華やかな色彩を用いる。
[村重 寧]
『岩橋春樹・山田泰弘編『日蓮聖人註画讃』(1981・角川書店)』