旧島松駅逓所(読み)きゅうしままつえきていしょ

国指定史跡ガイド 「旧島松駅逓所」の解説

きゅうしままつえきていしょ【旧島松駅逓所】


北海道北広島市島松にある、明治期の「道の駅」にあたる駅逓所の建物。駅逓とは、交通の不便な土地に駅舎や人馬を備え、旅人の宿泊や運送の便をはかるために設置された、建物または制度のこと。駅逓制度は、1947年(昭和22)まで存続したが、島松駅逓は現存する中では道内で最古の駅逓である。木造平屋で、建造されたのは1873年(明治6)ころから1881年(明治14)にかけて。1984年(昭和59)に国指定史跡となり、同年から1990年(平成2)にかけて保存修復された。もともと、明治期に北海道で初めて米作りを成功させた農業指導者で「北海道(寒地)稲作の父」といわれる中山久蔵(1828~1919年)邸だったものを開拓使が駅逓にした。この島松駅逓所は、1867年(明治14)、明治天皇が北海道開拓のようすを視察するために来道したときには、行在所(あんざいしょ)として利用された。建物の全長は約28mに及び、建設時期が異なる上座敷(行在所として増築)、中座敷(駅逓所時代の客間だった)、ダイドコロ部(下手居間帳場を含む)の3つで構成されている。4月28日から11月3日まで見学施設が開館している。JR千歳線千歳駅から中央バス「島松ゴルフ場入口」下車徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報