昆布売(読み)コブウリ

デジタル大辞泉 「昆布売」の意味・読み・例文・類語

こぶうり【昆布売】

狂言。男に無理に太刀を持たされた昆布売りが、逆にその太刀で男を脅して、代わりに昆布を売らせる。

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精選版 日本国語大辞典 「昆布売」の意味・読み・例文・類語

こぶ‐うり【昆布売】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 昆布を売り歩くこと。また、その行商人
    1. [初出の実例]「是はわかさのおばまのこぶうりでござる」(出典:虎明本狂言・昆布売(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 狂言。各流。無理に太刀を持たされておこった昆布売りが太刀で男をおどして刀を奪い、代わりに昆布を持たせていろいろな呼び声で売らせる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「昆布売」の意味・わかりやすい解説

昆布売
こぶうり

狂言の曲名雑狂言大蔵流では大名狂言。召使いを連れずに外出した男が、行きずりの若狭(わかさ)の昆布売(シテ)を刀で脅し、むりやり自分の太刀(たち)を持たせる。腹にすえかねた昆布売は、男が油断したすきに太刀を抜いて逆に脅し、小さ刀(ちいさがたな)を取り上げたうえ、昆布を男に押し付けて売らせる。売り声にさまざまな節をつけて謡い舞わせたすえ、商売繁盛の文句を男に謡わせておいて、昆布売は返す約束の刀を持ったまま逃げて行く。類曲『二人大名(ふたりだいみょう)』同様、ストーリーに下剋上(げこくじょう)的気分も漂うが、さまざまな節で昆布を売るという趣向がこの曲では中心をなしている。売り声の節は、大蔵流が平家節、小歌節、踊り節、和泉(いずみ)流が謡い節、浄瑠璃(じょうるり)節、踊り節を用いる。

[池田英悟]

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