日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
暴力行為等処罰ニ関スル法律
ぼうりょくこういとうしょばつにかんするほうりつ
団体または多衆による集団的な暴行、脅迫、器物損壊、面会強請、強談威迫などをとくに重く処罰するため、1926年に制定された法律。大正15年法律第60号。争議等を目的とする暴行、脅迫、誹毀(ひき)等を処罰する治安警察法第17条の削除に伴って、この法律が制定された。この法律は「暴力団」による集団的暴力の横行に対処するという名目で制定されたが、実際には、成立当初から、政府答弁に反して労働運動や小作争議に適用された。制定当初は3か条と附則からなっていたが、1964年(昭和39)の改正により第1条の2と第1条の3が新設された。現行法には、集団的暴行、脅迫、毀棄の加重類型(1条)、銃砲刀剣類による加重傷害(1条の2)、常習的な傷害、暴行、脅迫、毀棄の加重類型(1条の3)、集団的、常習的な面会強請・強談威迫の罪(2条)、集団犯罪等請託の罪(3条)が規定されている。なお、このうち1条の2の加重傷害は国外犯も処罰される(1条の2第3項)。
[名和鐵郎]