暴力論(読み)ぼうりょくろん(その他表記)Réflexions sur la violence

百科事典マイペディア 「暴力論」の意味・わかりやすい解説

暴力論【ぼうりょくろん】

フランスの社会思想家G.ソレル著書原題では《暴力に関する考察》。雑誌論文をまとめて1908年に単行本として発表。政党制議会主義を否定して,組合サンディカ)の役割を高く評価し,組合のゼネストなかに暴力の倫理性が含まれていると説く。→サンディカリスム
→関連項目暴力

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「暴力論」の意味・わかりやすい解説

暴力論
ぼうりょくろん
Réflexions sur la violence

フランスの社会思想家 G.ソレルの著作。サンディカリズム聖典とされている。 1908年刊。彼は K.マルクス,P.プルードン,F.ニーチェ,H.ベルグソンなどの影響のもとに革命的労働組合運動を主張し,プロレタリア革命武器としてゼネストを高く評価した。なお本書の神話論は大衆本能感情の利用が政治行動にとって緊要であることを説いたものであって,後年ファシズム運動に大きな影響を与えた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の暴力論の言及

【ソレル】より

…その後,フランスの労働組合運動(サンディカリスム)に取り組み,その理論的指導を行ったために,1892年以降,文筆活動に専念する。彼は,マルクスやプルードンの影響の下に,資本主義打倒の道をフランス労働運動の実践のなかに求めていったが,その理論的集大成が,1908年に公刊された《暴力論》である。そこでは,ブルジョアジーの暴力forceに対抗するには,プロレタリアートの暴力violenceが必要であること,そしてその具体的方法としてゼネストがあることが説かれている。…

【暴力】より

…その限りで,暴力は倫理的でさえありうる。こうした暴力の倫理性を強く主張したのが,G.ソレルの《暴力論》であった。ソレルは,ブルジョアジーが国家機構を通じて行使する力をフォルスforceと呼び,プロレタリアートが革命の際,対抗的に行使する力をビオランスviolenceと呼んで,フォルスの非倫理性に対してビオランスの倫理性を対置した。…

※「暴力論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android