曳田村(読み)ひけたむら

日本歴史地名大系 「曳田村」の解説

曳田村
ひけたむら

[現在地名]河原町曳田

北流する千代川に東流する曳田川が合流する付近の扇状地に位置し、西に延びる曳田谷の出口にあたる。北は渡一木わたりひとつぎ村、北東谷一木たにひとつぎ村とは正法寺しようぼうじ坂を越えて往来した。「和名抄」にみえ八上やかみ曳田郷の遺称地とされる。建暦三年(一二一三)と推定される後欠の関東御教書案(東洋文庫所蔵弁官補任裏文書)佐治氏一族の曳田大夫康貞(安貞)の名がみえ、佐治さじ(現佐治村)の地頭職を弟の佐治四郎重貞と争ってい(同年一一月三〇日「関東下知状案」同文書)。康貞は古代の曳田郷を本貫地とし、佐治郷の佐治氏と同様に曳田郷の郷司として在地に勢力を張っていたと推測される。同郷は中世史料では未見であるが、郷域は曳田川一帯と推定される。広峯ひろみね神社(現兵庫県姫路市)の文明一四年(一四八二)八月一〇日の檀那村書(肥塚家文書)に「ひけたのゆミのかふち村」とみえ、当地より上流の弓河内ゆみごうちも郷域に含まれていたらしい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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