更ける(読み)フケル

デジタル大辞泉 「更ける」の意味・読み・例文・類語

ふ・ける【更ける/深ける】

[動カ下一][文]ふ・く[カ下二]《「ふか(深)」の動詞化
夜中に近くなる。夜が深まる。「夜がしんしんと―・ける」
季節が深まる。「秋がしだいに―・ける」
[類語]暮れる沈む傾く落ちる暮れ掛かる暮れなずむ釣瓶落とし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「更ける」の意味・読み・例文・類語

ふ・ける【更・深・老】

  1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ふ・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
  2. [ 一 ] 時間が経過し、事態が深まる。
    1. ( 老 ) 人が年を経て、老齢となる。老いる。また、容姿などが老人めいてくる。
      1. [初出の実例]「有明の月の光を待つ程にわが世のいたくふけにける哉〈藤原仲文〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑上・四三六)
      2. 「あなたは、いこふけてお出じゃわいな」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)八)
    2. その季節になってから、かなり時間が経過する。季節が深まる。爛熟様相を帯びる。
      1. [初出の実例]「隋堤の柳、歳久しく秋深(フケ)(〈別訓〉ふか)、尽くに衰朽したり」(出典:白氏文集天永四年点(1113)四)
    3. 夜が深くなる。深夜に及ぶ。
      1. [初出の実例]「風吹きて川波立ちぬ引船に渡りも来ませ夜の降(ふけ)ぬ間に」(出典:万葉集(8C後)一〇・二〇五四)
  3. [ 二 ] 鳥、特に鶉(うずら)が鳴く。
    1. [初出の実例]「秋の夜もくゎいとふけたる鶉哉〈俊安〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)四)

更けるの補助注記

( 1 )形容詞「ふかし(深)」と同根。
( 2 )[ 二 ]は、方言の使われ方によれば、動物十分成長して交尾期を迎えるというのが原義で、発情して鳴く意に転じたものか。

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