曾爾谷(読み)そにだに

日本歴史地名大系 「曾爾谷」の解説

曾爾谷
そにだに

曾爾川流域のうち現曾爾村の渓谷をさす。「大和志」に「長野已下八村 漆部郷、今呼曾爾谷」とあり、長野村のほかに「掛旧名小野、小長尾、今井、葛、伊賀属邑六、太郎路、塩井」をあげる。「古事記伝」には「蘇邇そには大和国宇陀郡東の極の山中にて(中略)曾爾谷と云、古の漆部ノ郷なりとぞ、伊賀・伊勢の堺に近き処なり」と記す。

「古事記」仁徳天皇段に「宇陀の蘇邇」、「日本書紀」仁徳天皇四〇年二月条に「菟田の素珥山」の地名がみえる。固有名詞用字に若干の相違はあるが、雌鳥皇女と隼別皇子とが天皇の怒りにふれて宇陀の蘇邇から伊勢に逃げたという点は一致し、当地が早くから大和―伊勢を結ぶ通路にあたっていたことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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