有り合う(読み)アリアウ

デジタル大辞泉 「有り合う」の意味・読み・例文・類語

あり‐あ・う〔‐あふ〕【有り合う/在り合う】

[動ワ五(ハ四)]
たまたまそこにある。ありあわせる。
「幸い―・う茶碗でそっと舷外の水をすくって」〈蘆花思出の記
ちょうどそこに居合わせる。
「至れりし国にてぞ、子産めるものども―・へる」〈土佐
出会う。行き会う。
「路の程などに夜行の夜などもおのづから―・ふらむ」〈栄花初花

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「有り合う」の意味・読み・例文・類語

あり‐あ・う‥あふ【有合】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 人がちょうどそこに居あわせる。まさしくそのところにいる。
      1. [初出の実例]「京よりくだりしときに、みな人、子どもなかりき。いたれりし国にてぞ、子うめるものどもありあへる」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月九日)
    2. たまたま行きあう。出会う。行きあわせる。また、生きていてそのことに出あう。
      1. [初出の実例]「路のほどなどに、夜行の夜などもおのづからありあふらん」(出典:栄花物語(1028‐92頃)初花)
    3. ものがたまたまそこにある。折よくその場にある。ありあわせる。
      1. [初出の実例]「持(もた)せ来(きた)られし有合(アリアフ)金二百両を」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)六)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ハ行下二段活用 〙 =ありあう(有合)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「両六波羅家人等ありあえて候を、さしつかはし候ひて」(出典:金沢文庫古文書‐(年月日未詳)(鎌倉)金沢貞顕書状(一・三三四))

有り合うの語誌

( 1 )同義の「ありあわす」は、近世の西鶴の作品などに例が見られるが、一般化したのはずっと後世らしく、「日葡辞書」「コリャード」「ヘボン」などの諸辞書は、すべて「ありあう」だけを載せている。
( 2 )[ 一 ]用法は後世、「ある」と「いる」の使い分けに従って、「いあう(ゐあふ)」「いあわす・いあわせる(ゐあはす)」が用いられるようになった。

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