朝鮮工芸(読み)ちょうせんこうげい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

朝鮮工芸
ちょうせんこうげい

朝鮮における工芸を三国,統一新羅,高麗,李朝の各時代に区分して大観すると,三国時代には高度の漆工芸と金属工芸が発達し,とりわけ新羅地方では,金工芸,陶芸がめざましい展開をみせた。金製の宝冠,装身具,容器,仏教の荘厳 (しょうごん) 具などには細線粒金細工という特殊技法が駆使されている。また陶芸では小花文や円環文などを刻文とした硬質の無釉陶器を生み出して,朝鮮陶芸の基礎をつくった。新羅焼と呼ばれているのがそれである。統一新羅時代には施釉陶器が一般化し,鋳銅,鋳鉄製品,石工芸にもすぐれたものが現れた。鋳銅品の代表的遺例には敦賀市常宮神社蔵の朝鮮鐘 (833) などがある。高麗時代は朝鮮工芸の黄金時代を形成し,多様で高度の発展をみせた。高麗青磁象眼を施した金工品や高麗鏡,螺鈿 (らでん) 漆器,紙工品,皮革工芸,木竹工芸にすぐれた技巧と意匠がみられる。中国の宋青磁よりも高く評価されたという高麗青磁,なかでも象眼青磁の美しさはいうまでもないが,官営螺鈿工房の鈿函 (大蔵経箱) ,造成都監などで作られた螺鈿漆器は精緻な完成美をみせている。代表的作例には奈良県当麻 (たいま) 寺蔵『唐草合子』などがある。紙工品もまた,「宋人論ずるに,諸国の紙品は必ず高麗紙を以って上となす」 (『保べん斎叢書』) といわれたほど高名であった。李朝時代には陶芸に多様な展開をみせたのをはじめ,漆工芸では螺鈿で花鳥山水を表現する華麗な意匠が好まれるようになり,家具や小箱にその技巧を存分に発揮している。また,木竹工芸では家具,特殊なものでは朝鮮固有の伝統をもつ華角張 (ファガクチャン) もこの時代に盛行した。金工品では繊細な象眼や刻文を施した技巧的なものにその特徴が発揮されている。概して朝鮮工芸は,中国工芸のように完成美をあえて求めず,未完成とも思われる中庸の美を目指している点に特色があるといえる。

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