山中の木を切って木彫の材料として粗挽きしたり,ろくろを使って椀・盆などの木地(挽物)を作る山民的な職人。良材を求め山野に仮泊しながら木地挽を行ってきた。中世には轆轤師(ろくろし),近世には木地屋ともよばれた。滋賀県東近江市(かつての愛智(えち)郡小椋(おぐら)荘)の君ケ畑(きみがはた)・蛭谷(ひるたに)などの木地師には,文徳天皇の第1皇子惟喬(これたか)親王が,第4皇子惟仁親王(のちの清和天皇)との位争いに敗れ,この地に隠棲し木地師の祖神になったとの伝承がある。この伝承は全国に広がるが,小椋荘蛭谷に住んでいた大岩氏によって近世初頭に作りだされ,流布されたものと考えられている。君ケ畑の木地師は小椋姓を,蛭谷の木地師は大岩姓を名乗り,近世には全国木地師の支配本所を争った。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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…その中で(b)の丸物木地は,工具に原始的な手びきろくろとろくろがんなを操作して,いわゆる挽物の日用食具(椀,盆,丸膳など)を主に生産して庶民生活にとりわけなじみ深いものであったからか,木地屋といえばもっぱらこの種職人の代名詞のようになっている。挽物を作るので木地挽ともいい,そのほか轆轤師(ろくろし),木地師,狛屋(こまや)などの呼名がある。
[木地屋の生活習俗]
木地屋は都市に集住する者もいたが,もともと土地に依存しない非農民で,中世諸職人と同様の漂泊生業者であった。…
※「木地師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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